FAN FICTION FOR KLAINE

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Behind 2 ブレイン・アンダーソンという男

Side Dave


午後のダイナー。
カートはモデル仲間、雑誌の編集者と小さなテーブルを囲んでちょっと遅めの昼食を取っている。

愚痴を言いあいながら、ふとテレビを見上げると臨時ニュースが入って、
「トロント~シンシナティ行きの小型機が墜落」というテロップが流れる。

乗員名簿を読むアナウンサーの声。
「ポップシンガーとして人気のブレイン・アンダーソンさんも乗っていた模様です」

カートの目が見開かれ、瞬きが止まる。
友人の声など耳に入ってこない様子でカートは画面を見つめる・・・・・。



これは、俺がよく見る夢だ。

夢と言っても架空の話ではない。

そのときカートと同席していた友人から聞いた話が、夢になって再生されるんだ。



俺にはもう一つ、何度も夢にみるシーンがある。

それは、聞いた話の想像ではなく、俺自身が見た光景だ。

緑に包まれた墓地。小雨が降っている。
聖書の一節を読む牧師。
フィンがカートに傘をさしかけてくれている。
バート、キャロライン、そして、多くの友人の姿。
こんな時なのに、俺はカートの横顔を盗み見る。
セットしてこなかったのか、それとも雨のせいか、カートの前髪はおりている。
細いスタンドカラーの白いシャツに黒のスーツ姿のカート。

可哀そうだと思い、心配しつつも、カートを美しいと思ってしまう。


全て終わり、みんなが帰っていく。

フィンに何度も声をかけられるが、そこから動けないカート・・・。



葬儀の夢には音がない。色は鮮やかについているのに。



繰り返し見る二つの夢。

俺は、夢の中でまで確認させられる。

ブレイン・アンダーソンは、死んでもカートの心をとらえて離さないことを。





Side Kurt


僕とブレインの両親のもとにブレインの遺品が戻ることになった。

飛行機墜落事故にかかわる品のため、調査や手続きにも時間を要したが、僕たち遺族の手元に届くのが遅れた最大の理由は、発見が遅かったことだ。

小さくて軽かったため、遠くへ飛ばされたのだろうか。
捜索エリアから外れたところでみつかったのだ。

みつけてくれたのは警察や事故調査の関係者じゃなくて、一般人だった。
サインしてあったことが幸いし、亡くなったブレイン・アンダーソンさんのものじゃないかと届け出てくれたのだ。


遺品の受け取りには、僕とブレインの両親で行った。

ブレインの兄で、俳優のクーパーがブレインの実家へ到着するのを待ち、4人で遺品と向き合った。



小さなミュージックノート。

めくると五線譜の上に音符が踊っていた。

全てにタイトルが付いていて、行間には歌詞が懐かしい字で書いてあった。



最後の曲のタイトルを見た瞬間、息が止まりそうになった。

僕の名前だったんだ。


それまでの曲とは明らかに違う大きく乱れた文字。

五線譜と五線譜の間だけではなく、上下に、斜めに、大きくはみ出した歌詞。



飛行機が墜落する間際にこの歌の歌詞を書いていたことが見て取れた。

そしてこの最後の曲は、ブレインの遺書と言えるものだった。






Kurt



僕が先にいなくなっても 君は追いかけてこないでね

人よりうんと長生きして 人生を楽しんで

君を幸せにしてくれそうないい男がいたら

迷わず その胸に飛び込んで

僕はやきもち焼きだけど大丈夫さ

だって君が人生を全うしたら 

もう一度プロポーズするから

天国の入口で片膝ついてね



新しい彼と育てた子供の話を聞かせて

僕が知らないヒットチャートの曲を教えて

君と昔デュエットした曲を

また上手く歌えるように

パヴァロッティーと練習しておくよ






「愛してる」という言葉が無いラブソングだった。

墜落するまでの十数分の間に書かれたことは、文字の乱れからだけではなく、その歌詞からもわかった。

どこまでも前向きなブレインらしい歌詞。

大きく揺れる機体、死の恐怖に襲われながらブレインが考えたのは、自分がいなくなってしまった後の僕の幸せだった。



僕達の結婚式では心からの祝福をくれなかったブレインのお父さんが、僕を抱きしめた。

「息子が君をどんなに愛していたか・・・もっと早く気が付いていたら・・・」

そう言ってお父さんは声をあげて泣いた。


皮肉にも僕に再婚を勧める歌詞のおかげで、僕達は初めて家族になった。





その2年後、僕はデイヴと結婚した。

プロポーズしたのは僕の方だった。

今この世に生きている男の中で、共に暮らし一緒に子育てしたいと思う相手はデイヴ以外にいなかった。

ブレインを想う気持ちとはちょっと違うけれど、デイヴを愛する気持ちに嘘はなかった。




結婚式では高校時代gleeクラブにいた仲間やウォブラーズにいたメンバーが顔をそろえ、ブレインの声で録音されることのなかったミュージックノートの曲を歌ってくれた。

どの曲も素晴らしかった。

忙しい中みんなが集まって練習していてくれたことも分かり、うれしかった。


新郎の前で前の夫の遺作を歌い上げるのはどうかと思う人なんて、多分いないと思った。

だって僕が再婚できたのは、ブレインの強い意志のおかげだと集まった全員が知っていたから。

ブレインの両親、兄のクーパー、それから、ブレインのミュージックノートを拾ってくれたシェリーも来てくれた。

みんなのおかげで、とても楽しい式になったと思う。



『Kurt』は、僕自身が歌った。

僕は宗教を信じないし、天国が存在するのかどうかもわからない。

でも、僕の歌声がブレインに届くといいなと思った。

ブレインの書いてくれた曲が、そして死ぬまで与え続けてくれたその愛が、ちゃんと僕に届いたことを伝えたかった。





デイヴと手をつないで、新しい人生を歩き出す。



僕は幸せになるよ。

ありがとう、ブレイン。



(END)

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Behind

飲んでいる時のカートは陽気にみえる。

カートはよく飲み、よくしゃべる。仕事のこと、お気にいりのTVドラマの話・・・。

ちょっと意地悪なモデル仲間の悪口を言う時には、本当にいやそうな顔をするし、俺の愚痴を聞くときには、口をとがらせてうんうんと頷いたり、「その上司サイテーだよ!」なんて相槌を打ってくれたりする。

表情豊かなカート。誰かに怒っている時の顔も笑っている時の顔も好きだし、楽しい話の時に少し甲高くなるその声も好きだ。



でも、俺は気が付いている。

カートが元気なふりをしていることに。



店を出た後のカートのセリフはわかる。

だって、この一言しか言わないからだ。

「ねえデイヴ・・・寄ってく?」



玄関のドアのカギを閉めると同時に、俺の唇はふさがれる。

差し込まれた柔らかく甘い舌が、俺を誘う。

ベッドへなだれ込むと、カートは俺の服をはぎ取っていく。

俺が「おい。シャワーが先だろ?」と言うまで。



その先の状況はカートの酔いかげん次第だ。

俺がシャワーを浴びている間にカートが寝てしまっていることもあれば、落ちてくる瞼の重さと必死に闘いながら待っていて、「ねぇ。チューして。」ってねだってくることもある。

そんな時は、チューしたとたん、ストンと眠りに落ちるんだけど・・・。

あんまり酔っていないときは、思いきり迫ってくる。

そう・・・ちょうど今夜のように・・・。



俺とそういうことをするとき、カートはベッドサイドの写真立てを倒す。

優しく微笑むブレインに見られたくないからだ。





ずっとずっと片思いだった。

そのカートに誘われ、ねだられ・・・もう何度も・・・何度も抱いた。



想い続けてきた男を味わい、喘がせ、「ありがとう。もう帰ってもいいよ。」と言われるまで抱く。

濃厚な愛撫でスタートした後、上になり、下になり、横からも、四つん這いでも・・・それから、壁際に立たせたままでも・・・カートの意識がぶっ飛ぶまで突き上げる。



OKの言葉が出るとシャワーを浴びて帰っていた。

クタクタになって、すぐにでも眠ってしまいそうなカートの頬にキスしてから・・・。

でも、いつだったか「今日は泊っていかない?」と言われた。そして次第にそんな日が増えた。



情事のあとのカートは、かわいい。

カートは俺の腕の中で眠るのが好きなようだ。

俺がゆるく抱きしめると「デイヴとこうしてると安心するんだ。」なんて言ってくれる。



俺はカートが完全に眠りに落ちたのを確認してから体を離し、カートがぐっすりと眠れるように、そっと仰向けにしてやる。

そしてそのあと、薄明かりの下でもくっきりとわかるその美しい顔をしばらく眺める。

起きている時よりちょっとあどけなく見える顔を堪能した後、俺も眠りにつく。





コンサートツアーの移動中、飛行機事故で死んだブレインに勝てる日が来るなんて思っちゃいない。



カートを慰めるだけの人生でも構わない。

カートが俺を必要としてくれるなら・・・。





(END)

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マリッジブルー 4

「いくら腹が立ったからって、動画ってお前!

動画なんて撮ったら、お前とブレインは、ますます大変なことになるんじゃないか??」

 

セバスチャンに負けたくないらしいが、明後日はカートとブレインの結婚式だ。

俺とのセックスを撮るなんてバカなこと、承知するわけにはいかない。

なんとか説得して、やめさせなくてはと思った。

 

いや、別にヤるのをやめたいっていうことではなく、あくまで録画はだめだって意味だ。

 

「デイヴ。撮っちゃだめだって言うんだったら、デイヴとのセックスは無しだよ。

でも、君とセックスしなくても、僕がブレインやセバスチャンと言い争いになった時は、『いいもん!僕だってデイヴとヤったんだから!』って言うからね!」

 

カートはすごくビッチな顔でそう言った。

あんなに泣いてたくせに、この変わりよう・・・。まるで女みたいだ・・・と俺は思った。

 

「でもさ、カート。 もし、動画が流出したらどうするんだ?

お前、今自分がどんな立場かわかってるよな?

ハッキングとかされて、動画サイトに投稿されでもしたらどうするんだよ!」

 

カートの社会的な立場を持ち出せばカートが折れてくれるんじゃないかと期待したが、そうはいかなかった。

 

「送受信できないもので撮ってさ、デイブの家に撮ったやつを置いといて。

それならハッキングも流出もないじゃん。

デイヴ、持ってるじゃん!仕事用のいいやつ。

ほら、プロスポーツ選手の動きだって鮮明に撮れるのを。

あれで撮ったらきっと僕たちのもきれいに撮れるよ!」

 

「そんな目的で買ったんじゃないぞ!!」

 

俺は怒ったが、カートは勝手に機材が置いてある部屋に向かった。

勝手知ったる他人の家ってやつだ。

 

「おい!カート!話聞いてるのか?」

俺は叫んだが、カートは俺の言うことなんて無視して、撮影に必要な機材を一式持ってきた。

 

ただのビッチならこういった機器の扱いは苦手かもしれないが、カートは違う。

 

歌手、そして俳優として賞をいくつも取ってきただけではなく、作家、脚本家、演出家、プロデューサーとしても活躍し、去年ついに「自分ではやりたくない」と言っていた映画監督という肩書まで手に入れたカート。

 

脚本から撮影、編集に至るまで、全ての過程をたった一人でやったモノクロの不思議なショートフィルムは、二つの映画祭で賞を取っていた。

 

カートは、持ち主の俺よりも手際よく録画用機材をセッティングしていった。

 

ソファーを動かして、ベッドまでの動線を考えたり、カメラの位置やライティングにも気をつかったりと、浮気された腹いせに撮る動画なんかのためにやっているとは思えないほど真剣な顔で生き生きと動くカート。

 

セットは何の変哲もない俺の部屋だけど、その辺のゲイビデオとは比べ物にならないような素晴らしい作品が撮れそうな気がしてきた。

 

・・・いやいやいや!!! 何考えてんだ俺!! 撮らせちゃだめだって!!!

 

「な、カート。いくらなんでもさ、撮るなんてやっぱりやりすぎだよ。

まだあの写真について、ブレイン本人に話を聞いてもいな・・・!」

言い終わらないうちにキスされていた。

 

 

「・・・デイヴ・・・舌を入れていいんだよ。」って言われただけでイってしまった俺に、カートはまた仕掛けてきたわけだ。

 

キスするのをやめさせて、ちゃんと話合わないといけないとは思った。

 

でも・・・・カート・・・ものすごくうまい・・・ああ・・なんだよこれ・・・。

それは、バスルームへ行く前にした唇と唇とが触れあうだけのキスとは全然違う、

映画でしか見たことのないような熱いキスだった。

 

くそ・・・こんなキスされたら、またダメだって言えなく・・なっちまう・・・。

 

カートは俺の唇に自分の唇をエロティックに合わせた後、俺の上唇を舌先で何度か舐めた。

カートの柔らかい舌に背中がゾクゾクした。

俺は押しのけることもできず、突っ立ったまま動けなくなった。

下唇も小さく何度も舐められて、だんだん頭がぼーっとしてきた。

 

それからカートは、俺の唇を上下別々に優しく噛んでいった。

そしてまた唇を合わせると、唇と唇の隙間に舌を入れてきた。

 

俺の口の中をじっくり味わうようにカートの舌が動いた。

滑らかに、いやらしく、まるでそれ自身が生き物のように・・・。

 

その官能的な動きと感触に翻弄され、俺は声にならない声を出した。

 

唇が離れても、また捕まった。

 

俺はヒザからガクンと倒れそうになるほど熱いキスを何度も食らいながらも、崩れ落ちそうになるのをどうにかこらえた。

でも、何度目だかわからない長いキスが終わり、顔をゆっくり離していくカートの色っぽい目に俺は射抜かれ、足元から崩れてしまった。

 

無様な格好で座り込んだ俺をカートが見下ろしながら言った。

 

「デイヴ、僕たちの動画、撮っていいよね?

だめって言うなら今すぐ帰る。 ま、帰ってもデイヴとヤったってことにしとくけどね!

さ、どうする?

ヤる? ヤらない?」

 

もう、選択肢なんて無いも同然だった。

俺は、もうカートの奴隷だった。

 

 

 

俺はトランクス1枚のまま、ソファーに座らされた。

カートはカメラの方に行ってソファーに戻ってきた。録画が始まったようだ。

 

「さ、何からやる? デイヴ。 最初は・・・やっぱりキスからかな?」

 

ふとカメラの方に目をやると、レコーディング中の赤いランプが灯っていた。

 

隣に座ったカートは俺に手を伸ばし、さっきよりさらに色っぽくキスしてきた。

人に見せることを意識した極上のキス。

 

俳優だからこんなにうまいのか?

さっきのキスも立っていられないくらいすごかったっていうのに・・・ああ・・今度はそれ以上だ・・・・。

 

「・・・ん・・・んん・・・。」

もう、俺は完全にとろけてしまった。

 

唇が離れる時、チュっという音が響き、お互いに「はぁ・・。」と小さく息を吐いた。

そしてカートはまたキスしてきた。

何度も。 何度も。 

 

俳優っていうことだけじゃ説明つかないキスのうまさ・・・。

まったく・・・どんな生活してんだよ、お前・・・。

頭の中に、ベッドでブレインと激しくキスするカートの姿が一瞬浮かび、妄想の中のブレインに激しく嫉妬した。

 

俺に繰り返し与えられる大胆で官能的なカートのキス。

言葉なんかじゃとても表現できない代物だった。

 

「ねえ、デイヴからもキスして。 キスって、二人でするものだよね?」

カートのねだるような声に従い、俺からもキスした。

 

ああ、まるで・・・麻薬みたいだ。

唇を離した瞬間、またキスしたくなるカートの唇。

 

俺は舌を入れ、柔らかい舌に俺の舌を絡めた。

舌を吸って、カートの唾液を呑み込んだ。

 

また絡めたい、また吸いたいと思わせる、可愛くていやらしい舌。

何度も何度も・・・何度もキスを繰り返していた。

 

 

「ふふ・・・。デイヴ、だんだんキスが上手になってきたんじゃない?」 カートが笑った。

 

そして、「ねぇ・・・そろそろ脱がせて。」と囁いた。

 

 

お互いに立ちあがり、カートのバスローブを取り去ると、カートは微笑んで、「どう?」と聞いてきた。

 

カートの美しい裸を見た感想は、さっきバスルームでも言ったはずだが、レコーディング中だから改めて言わせたかったのだろう。

 

俺は眩しすぎるカートの体からちょっと視線をそらして「きれいだ。」と言った。

 

「きれいだって思うのなら、僕をちゃんと見て・・・。」

裸のカートが甘い声を出した。

 

それから、俺の両肩を押してソファーに座らせると、カートは膝の上にまたがって両手を俺の首の後ろに回してきた。

 

「ふふ。デイヴの・・・またすっかり硬くなってるね。」

カートがいたずらっ子の目で言った。

 

「ここでちょっと何かしてからベッドに行ってもいいし、ベッドで最初からしてもいいよ。

どっちがいい?」

カートが俺をみつめながらささやいた。

 

カートは、『ソファーでの前戯+ベッドでの本番』という展開での撮影を期待していたのかもしれないが、カメラの前でやる『ソファーでの前戯』に何をしたらいいのか、気の利いた事を全く思いつかなかった俺は、とりあえずカートにキスして、そのまま押し倒した。

 

男二人が横になって使うには、ソファーは少し小さかった。

 

「ん~。ここじゃ、ちょっと狭いかも・・・。抱っこして広いところに連れてって。」

カートはベッドの方を視線で指して言った。

 

カートに言われるまま、お姫様抱っこしてベッドに連れて行った。

 

カートは俺のトランクスに手をかけ、ベッドの上で脱がせた。

 

カートが裸でベッドの上にいるだけで鼻血が出そうなのに、下着を脱がされ、録画中という事実・・・。

 

もうどうにでもなれ、という気持ちでカートを再び押し倒し、体の上に乗った。

 

カートと目が合った。

 

美しい瞳はちょっと潤んでいるように見え、ますます美しく輝いていた。

 

「きれいだよ。カート。」

俺はそう言って顔じゅうにキスをした。

 

唇にまともにキスしたら、また夢中になってなかなか終われなくなってしまうと思ったので、唇には啄むような軽いキスを何度か落とし、とっとと先に進むことにした。

 

「もしイヤだったら、遠慮なく言えよ。」

そうカートに言ってから、首筋にキスして、舐めはじめた。

 

今まで視線を向けることすらはばかられたカートの美しいうなじ。

その色っぽさに興奮してしまい、馬鹿みたいに舐めまくった。

 

「ん・・・はぁ・・・デイヴ・・・・・。」

カートが甘い声を出した。

 

カートの声にあおられ、さらに興奮した。

 

ああ、もっと・・・もっとカートを味わいたい・・・。

 

俺は舌を少しずつ下へ移動させていった。

 

肩、鎖骨、そしてもっと下へ・・・キスして、思いきり舐めながら、下へ進んでいった。

 

カートの白い肌がほんのり赤くなってきた。

 

俺はカートの乳首に到達すると、乳首全体に舌を這わせてから、いろんな風に何度も舐めた。

外側も中心も・・・。

 

乳首の中心を舌先を使って掘るように責めると、カートは悶えながら俺の髪をつかんだ。

 

「ああ・・あ・・・ん・・・。」

なんてかわいくてエロい声を出すんだろう?

 

俺は、せめるのをやめず、円を描くように舌を回して舐めたり、乳首を吸ったり、甘噛みしたりして、カートをますます喘がせた。

 

「なんてきれいな乳首なんだよ。 本当に食っちまいたいくらいだ・・・。」

 

「いいよ・・・デイヴ・・・。あ・・ああ・・・・・食べて・・・。」

 

今まで何度、カートとこうすることを妄想してきたことか。

夢にまで見たこの状況に、我を忘れ、夢中になった。

 

 

両方の乳首を十分堪能した後、キスしながらさらに下の方に顔を動かしていった。

 

目の前にあるカートのペニスはすっかり立ち上がっていた。

 

こんなに美しい体を好きにしていいなんて・・・。

 

カートの表情をよく見たくて俺は一旦顔をあげた。

 

カートは、とろんとした目で俺をみると、「デイヴって・・・すごく上手なんだね・・・。」と言った。

 

カートに褒められ、俺はちょっと上ずった声で言った。

 

「カート。 今から、もっと気持ちいいことしてあげるからな・・・。」

 

 

カートの体は俺からの刺激を待っていた。

 

もうすっかり反りあがり、先端につゆを光らせたカートのペニスをつかみ、先の方を舐めた。

 

舐めながら視線をカートの顔の方に向けてみたが、このままだとお互いの顔がちゃんと見えないことに気がついた。

 

俺はソファーからクッションを二つ持ってきた。

 

一つは枕と重ねてカートの頭の位置を高くし、『自分がされていること』をカートがよく見えるようにしてやった。

これで俺の方からもカートの表情がよく見えるようになった。

 

もう一つのクッションは、カートの尻の下に敷いた。

これでどこでも舐めやすいし、入れやすい。

 

「ねぇ、デイヴ。早くぅ。」

カートが甘えた声を出した。

 

俺を求めるカートの色っぽい声を聞いて、俺は理性を失った。

動物になってカートのペニスを舐めあげ、しゃぶった。

 

 

 

 

「あ・・あっ・・ああ・・・・・」

 

湿ったいやらしい音と、カートの喘ぐ声だけが部屋を支配した。

 

恥ずかしいなんて気持ちや、こんなことしてはいけないなんて気持ちは、もうどこかへ行ってしまった。

 

カートのペニスを舐めて、吸って、しごいた。

 

内股にも袋にも思いきり触って、舐めあげて、キスした。

 

カートは何度もセクシーな声をあげ、俺の肩や背中に爪を立てて身をよじらせた。

 

カートのはぁはぁという吐息と、せつなく喘ぐ高い声、

 

それから「デイヴ・・・もっと・・・」と懇願する声に俺のペニスはガチガチになっていた。

 

カートのペニスを緩急つけながら口でしごいてやると、カートはこらえ切れなくなって顔を歪ませ、「デイヴ・・・もう・・イきそう・・・」と切ない声をあげた。

 

俺はかまわず、そのまま口でしごき続けた。

 

「ああ!!」という声とともにカートは熱いものを俺の口に放出した。

 

カートの味が口の中に広がり、俺は、迷わず飲み干した。

 

「ごめん・・デイヴ・・・飲んだの?」とカートが乱れた呼吸のまま聞いてきた。

 

「ああ。 俺な、カートの飲んでみたかったんだ。」そう俺が答えると

 

「デイヴ、無理しなくてよかったのに・・・。」と、カートは赤い顔して言った。

 

「カートを喘がせてイかせるのが夢だったんだ。

お前のを飲めるなんて・・・本当にうれしいよ。」

 

俺が本心を言っていることが伝わったらしく、カートは目を潤ませ、体を起して俺を抱きしめた。

 

しっかり抱き合った後、カートは言った。

 

「じゃあデイヴ・・・もっと喘がせて!」

 

 

 

俺は再びカートを仰向けに寝かせて、両膝の裏に手を入れ、そのまま頭の方に持ち上げて開いた。

 

まじまじとカートの蕾を眺めた。

 

美しいと思った。

 

でも、せっかくカートから許されたというのに、いざ突っ込むって時になって俺はひるんだ。

 

カートの幸せを壊してしまう・・・。 そう思ったんだ。

 

 

カートはブレインを心から愛している。嫉妬に狂い、俺に体を投げ出すほど。

 

俺はこの10年、二人を見てきた。

 

ブレインに何があったのかわからないが、カートとブレインは、本当に愛し合っているはずだ。

 

・・・これ以上は進めない。 進んじゃいけない・・・。

 

 

「カート・・・。やっぱり、この一線だけは越えられないよ。

ここまでやっといて申し訳ないけど、もう俺、これ以上はできねえ。

お前も変な意地張って、無理するなよ。

録画なんてやめて、ブレインに連絡とれよ。

あの画像の件、ちゃんと話しろよ。」

 

カートにそう言い終えた瞬間、カートの平手が飛んできた。

 

バシッという音が自分の頬からダイレクトに聞こえた。

 

「何言ってんだよ!!デイヴの意気地なし!! デイヴがヤれないなら、僕が!」

 

 

俺より体格では劣るはずのカートが何をどうしたというのだろう?

 

俺はあっという間にベッドの上に仰向けにされていた。

 

カートは俺の張りつめてるモノをつかむと、またがって自分の中に入れようとした。

 

ジェルも唾液も塗られていなければ、まだ全くほぐされてもいない入口は、当然のことながら受け入れようとしなかった。

 

「よせ! やめろカート!! 無理するとお前ケガするぞ!」俺は怒鳴った。

 

それでも腰を落として何とか俺のを入れようとするカートを、俺は起き上がって抱きしめた。

 

「わかった、わかった。 悔しかったんだな。ブレインに浮気されて。

でも、これ以上の仕返しはやめとけ。この一線だけは越えちゃだめだ。

お前が本当にブレインを好きなら、別れたくないなら、ここが潮時だ。

な? もう充分だろう?」

 

カートが赤い顔して涙を浮かべたまま怒っていた。

 

ブレインに対する怒りなのか、ここから先に進めないって言った意気地無しの俺に怒っているのか、その両方なのか・・・俺は、カートが落ち着くまで抱きしめていた。

 

 

録画を停止し、ダイエットコークを飲んで、一緒にシャワーを浴びた。

 

それからシーツを取り換え、ベッドの上でゆったりと抱き合った。

 

「ああ、デイヴに思いっきり突き上げられてるところ、録画したかったなぁ!」

 

カートはそう言って笑った後、

 

「デイヴ・・・いろいろありがとう。 なんだかね、すごくすっきりしたよ!

どんでもないお願い聞いてくれて、それから、僕のことを思って叱ってくれて・・・うれしかったよ。」と言った。

 

「そうか。 お前の裸を拝めて、体に触れられて、俺もうれしかった。

すごく、ドキドキしたよ。

浮気してくれたブレインに感謝したいくらいだ。」

 

「浮気したブレインに感謝ですとぉ?」

 

カートは、俺の頬をグイグイとつねった。

 

「なぁ、カート・・・もう気が済んだよな?

これで、ブレインと普通の顔して会えるよな?」俺がそう言うと、

 

「・・・うーん・・・そうだね・・・。」とカートは答えて、それから、

 

「・・・デイヴはさ、今まで・・・僕を無理やり押し倒そうとか、画策してブレインから僕を奪おうって思った事、無かったの?」と聞いてきた。

 

「カート、それはないよ。

だって、お前が幸せでいてくれることが、俺にとって一番うれしいことなんだ。

お前はブレイン・アンダーソンを死ぬほど愛してるだろう?ブレインだってきっとそうさ。

だったら俺は見守るだけだ。 ずっとそう思ってきた。」俺はそう答え、話を続けた。

 

「まぁ・・・今回のブレインとセバスチャンとのことは、きっと何か・・・事故みたいなもんだったんだろう・・・。

お前だって心の底ではわかってるだろう?

ブレインがお前を本当に愛してるってことをさ。」

 

カートは、ちょっとしぶい顔して「まあね。」と言った。

 

「だったら、セバスチャンが送ってきたものなんて忘れろ。

ブレインの前でも何事も無かったふりしろよ。

お前も仕返しした気分を味わえて、すっきりしただろう?

もう、それでチャラにしろよ。」俺がそう言うと、カートは

 

「うん。わかったよ。デイヴ。」と素直に言って、甘えるようにゆるく俺に抱きつき、目を閉じた。

 

 

寝息をたてはじめたカートのかわいい顔を見て、俺は一晩で一生分の幸せを味わった気がした。

 

 

 

 

式当日は、素晴らしい天気に恵まれた。

 

カートとブレインのガーデンウエディングは、家族と親しい友人のみが見守る、心温まるものだった。

 

どこで情報を得たのか、外にはパパラッチやファンが大勢つめかけていたが、警備員によって完全にシャットアウトされていた。

 

カート同様、ブレインもテレビや映画、舞台で大活躍していた。

 

高校時代もかっこよかったブレインは、大人になってさらに男っぷりが上がり、女性ファンはもとより、世界一有名なゲイサイトでも、何年も人気ナンバーワンだった。

 

かっこいい男の役も完璧に演じられるうえに、「きれい」とか「かわいい」なんていう表現も似合う美しいカートと、男の中の男って感じの力強くセクシーなブレイン。

 

新郎二人はとても輝いていて、幸せそうだった。

 

フィンが満面の笑みでカートを抱きしめ、キャロルとブレインも抱き合って喜びを表していた。

 

バートが涙をこぼし、何か一言二言いって、カートを抱きしめた。

 

俺は、悪友サンタナやブリトニーと一緒にブレインとカートのもとへ行き、祝福の言葉を贈った。

 

「カートを幸せにしろよ!」そう言ってブレインと握手したとき、「痛いよ、デイヴ!!」とブレインが顔をしかめた。

 

誘惑されたのか酔っていたのか知らないが、セバスチャンとあんなことしてカートを泣かせやがって!と思ったら、思いっきり手に力が入ってしまったようだ。

 

カートとはハグして、

 

「俺の長い初恋も、これで終わっちまったな。・・・ブレインに幸せにしてもらえよ!」

そう言ってカートの背中をたたいた。

 

「何言ってんだよ、デイヴ。僕がブレインを幸せにしてやるんだよ!」カートは笑った。

 

カートとブレインが並んで立っていると、本当にベストカップルって感じがした。

高校の時からずっと似合いの二人だもんな・・・。

ここまでしっくりくるカップルはそうそういないんじゃないかと思った。

 

カートとブレインは、行く先々でおめでとうの言葉やハグやキスをもらって、とても幸せそうだった。

 

(カート、幸せになれよ・・・。)

 

レイチェルとメルセデスから両頬にキスをされ、笑顔をみせるカートを見ていたとき、

「よお! デイヴ!!」と、ふいに肩をたたかれた。

 

「セバスチャン・・・!」

そう言ったっきり、言葉が出てこなかった。

 

「式に遅れるなんて、サイテーだよな? もう、ホントにまいったよ!

乗るはずの飛行機がエンジントラブルで飛ばなくてさ・・・。」 

 

俺はまじまじとセバスチャンをみた。

 

セバスチャンと俺、カート、ブレインは、友達同士・・・のはずだった。

でも、俺は知ってしまったんだ。 こいつがブレインと何をしたかを・・・。

 

「じゃ、俺、ブレインとカートに遅れた詫び入れてくる!」

そう言ってセバスチャンは二人のもとへ歩いて行った。

 

カート・・・セバスチャンと会って、大丈夫かな?

俺は心配したが、カートはいつもどおりの笑顔をみせ、セバスチャンと話していた。

 

さすが、役者だ。 心の中では「コイツ、ぶん殴ってやりたい!」と思ってるはずなのに・・・。

ブレインも役者だな。いつもみたいにセバスチャンと接してやがる・・・。

 

ブレインのセバスチャンを見る目は本当にいつもどおりで、「関係した」なんて思えないくらいだった。

 

セバスチャンはカートやブレインほどの大スターではないものの、TVドラマのレギュラーの座をつかみ、役者として知られるようになっていた。

 

俳優が3人・・・さすがだ・・・誰一人おくびにも出さないな・・・。

俺は変なところに感心していた。

 

セバスチャンは、ブレインの肩をバシバシたたき、カートを思いっきり抱きしめて、俺のところに戻ってきた。

 

「デイヴ、ココが終わったら、なんか予定あるか?」セバスチャンが聞いてきた。

 

「友達の結婚式の日に他の予定なんて入れてないよ。」俺がそう答えると、

 

「じゃ、終わったら一緒に俺の家に来いよ。ちょっとお前に話があるんだ。」とセバスチャンは言った。

 

「そうか、ちょうどよかった。 実は俺もお前に話があるんだ。」

俺はセバスチャンに対する怒りを抑えながら答えた。

 

 

 

 

久々にセバスチャンのバカでかい家を訪れた。

 

コーヒーを飲み、高そうなケーキを食いながら、どう切り出そうかと考えていた。

 

ブレインとあんなことしただけでなく、カートに写真まで送りつけるなんて、一体どういう了見だ?とケーキを食い終わったら問い詰めるつもりでいた。

 

だが、先に口火を切ったのは、セバスチャンだった。

 

「デイヴ、カートはどうだった?」

 

「どうって? お前も見ただろ? そこいらの女優よりキレイだったよな。 輝いてた。」

 

「いいや、今日の話じゃなくて、おとといの、お前んちに行った時のカートはどうだったんだって聞いてんだよ。」

 

「・・・・・・何の話だ?」

 

俺は動揺し、手に持っていたコーヒーをこぼしそうになった。

 

ブレインと寝たセバスチャンを責めようと思っていたのに、カートが俺のところへ来たことを知っているような口ぶりに驚いた。

 

「ブレインに浮気されて怒り狂ったカートを抱いたんだろ?

カートの体はよかったかって聞いてんだよ。」

 

俺は思わず立ち上がった。

 

「お前・・・。」

 

「まあ、座れ。そのことでお前と話したかったんだ。

落ち着いて、俺の話を聞いてくれないか。」

 

 

「お前のところにカートが泣きついていったのは、知ってる。

俺からとんでもない写真送りつけられて、お前に見せに行っただろ?

ただでさえ情緒不安定な結婚直前に、あの浮気写真。

カートは、あの性格だもんな・・・。

荒れただろうな~。」

 

セバスチャンは、笑いながら、俺に話し始めた。

 

「てめー、人の婚約者と寝ておいて、なんだその言い草は!

カートもブレインも、お前の友達じゃなかったのかよ!」

 

「そうだ。

だからこそ、あの写真を送ったんだ。」

 

俺はセバスチャンが何を言いいたいのかさっぱりわからなかった。

 

 

それから、セバスチャンは俺に全て話してくれた。 包み隠さず・・・。

もともとズバズバとものを言う性格だから、その話は、非常に分かりやすかった。

 

結論から言えば、今回の件は、全部俺のせいだった。

 

 

高校時代、俺が自殺を図ったことを、カートはずっと気にしていたそうだ。

気にすると言っても、それがはっきりと表に出ることはなく、周りは全く気がつかなかった。

 

しかし、カートは心の奥底で、ずっと自分を許せないでいた。

『デイヴからのメールを読んで電話にも出ていれば、デイヴはあの時、自殺しようなんて思わなかったんじゃないだろうか。』 

カートはそう思っていたのだ。

 

10年前の自殺未遂の後だけじゃなく、今までずっとそうだったそうだ。

 

どんなにスラッシーをかけられ、ののしられても、カートにはglee部の仲間とカートを心から愛してくれる家族がいた。

仲間も家族もカートがゲイであることを受け入れ、いつもカートの味方でいてくれた。

 

でも、俺の場合は、ゲイであることがばれた途端、転校先の友達は全員敵になった。

親友だと思っていた奴からまでメールをよこすなと言われた。

俺はPCもチェックしたが、どこを見ても誹謗中傷の嵐だった。 

家族ですらその時はまだ俺がゲイであることを受け入れてくれていなかった。

 

だから、カートは自分を責めた。

 

「僕には、助けてくれる仲間も心から受け入れてくれる家族もいた。

でも、デイヴが心の内を話せたのは、僕だけだったのに・・・。」

カートはそう思っていたようだ。

 

カートの心の奥底にあった罪悪感は、婚約発表の後ふくらみ、はっきりとした形になって表に出てくるようになったそうだ。

 

次第にカートは、俺がまた自殺しようとする夢にうなされるようになって、「僕だけ幸せになってごめんね・・・。」とか、「ブレインと別れるから死なないで・・・。」とか、挙句に「デイヴ、僕を抱いていいから、やめて・・・。」なんていう寝言まで、まるでちゃんと起きているかのようにはっきり口に出してはうなされ、泊りにきたブレインは困惑したそうだ。

 

カート本人は目覚めた後、いつもと変わらないようにふるまっていたようだが、ブレインは心の奥底で苦しんでいるカートに何をしてあげたらいいのか悩んだらしい。

 

あの自殺未遂以来、カートは友達になってくれ、いつも俺を励ましてくれた。

 

カートのおかげで元気になった俺は、俺を支えてくれたカートといつまでも友達でいて、カートに何かあった時には全力で支えてあげたいと思っていた。

 

カートの相談にのれるような、大きな男になりたかったから、俺なりに精いっぱい努力もしてきた。

 

あの日・・・自殺未遂後、病室に見舞いに来てくれたカートが、「10年後の自分を想像してごらん!」って言ってくれた。

目をつぶると、スポーツエージェントとして活躍し、事務所まで構えている俺が見えた。

 

大学卒業後、俺は頑張って本当にスポーツエージェントになり、事務所も持った。

しかし、夢に描いていた未来とは違う部分があった。

 

10年後の実際の俺には、あの時想像したような『ハンサムなパートナー』も『かわいい子供』もいなかった。

10年たっても、俺は、カートを想い続けたままだった。

 

カートを愛しているからこそ、他の誰よりもカートの幸せを願っているつもりだった。

でも、俺のそんな一方的な想いが、ずっとカートを苦しめていたなんて・・・。

 

 

ブレインはセバスチャンに言ったそうだ。

 

「デイヴがカートを好きな気持ちは変えられないだろう・・・。

でも、『デイヴを無視して自殺に追い込んでしまった』っていう罪悪感は、何とかして拭い去ってあげたいんだ。」と。

 

 

セバスチャンには、いくつか策が浮かんで、ブレインに話したそうだが、現実問題としては、どれもなかなかうまくいきそうになかった。

 

その中に突拍子もないものが一つあった。

 

「いっそデイヴにカートを抱かせてみたらどうだ?」

 

さすがにこれは、ブレインが怒りだすかと思いつつ、セバスチャンはヘラヘラ笑いながらそう言ったらしいが、しばらくの沈黙の後、ブレインは意外なことを言ったそうだ。

 

「セバスチャン、その案なら、デイヴもカートを吹っ切れるかもしれないね・・・。」と。

 

『友達ヅラしていつまでもつきまとうバカ野郎』に自分の婚約者を差し出すなんて、とんでもない案のはずだが、ブレインは「それ、ちょっと考えてみるよ。」と言ったそうだ。

 

いくらおおらかな性格のブレインでも、カートの体に自分以外の誰かが触れるなんてこと、とても許せないはずだ。

 

でも、結局、いくら考えても、二人には、それ以上にいい案は浮かんでこなかった。

 

最終的にブレインの背中を押したのは、悪夢にうなされるカートのつらそうな顔とその目に光る涙だったそうだ。

 

(このままではカートは、誰にも何も言わないまま、ずっと苦しみ続ける・・・。しかも、カートが幸せになればなるほど、その罪悪感は増していくんじゃないだろうか?)

 

そう思ったブレインは、セバスチャンといろいろ話し合い、あの写真を撮ったそうだ。

 

何もお膳立てがない無い状況でカートと俺をベッドインさせるなんて無理だ。

 

「デイヴのこと、ずっと気にしてるんだろう?僕は我慢するから抱かれに行ってきていいよ。」なんて突然カートに言えるわけがないし、もし率直にそう言えたとしても

「あ、そう?じゃ、デイヴに抱かれに行ってくるね!」なんてカートが言うわけもない。

 

俺だって、カートを差し出されて、「そういうことなら、遠慮なくいただきます!」なんて食えるわけがない。

 

カートにも、俺にも、そういうことをするための『ちゃんとした必然性』だとか『言い訳』だとかいったものが必要だとブレインは思ったそうだ。

 

それで、色々考えて、結局セバスチャンに頼んで、例の浮気写真をブレインは撮った。

写真を送ってカートを怒らせ、深層心理では「デイヴに抱かれて許されたい」って思っているカートを俺のもとへ向かわせるために・・・。

 

そのために、浮気かどうかわからないような中途半端なものでなく、誰がどう見ても浮気だとわかるリアルな写真を撮ったのだそうだ。

 

セックスしているように見えた写真は、実は、ただ単に体を重ねただけのもので、ブレインはセバスチャンの「中」には入れていなかったらしい。

 

ただ、カートにヤっているところだと信じ込ませるために、ちゃんと全裸になって体を密着させたそうだ。

 

『顔だけブレインとセバスチャンで、体はゲイポルノの俳優』なんて合成写真は、カートには一発で見破られてしまうだろうから、本気で取り組んだそうだ。

 

問題はブロージョブの写真で、そうやっているように見せるために、いろいろ道具を使ったり、角度を変えたりして写真を撮ってみたものの、結局上手くいかず、ブレインは仕方なく本当に咥えてしまったそうだ。セバスチャンのを!!

 

「ケッサクだったぜ! もちろん咥えてる写真撮ることが目的だからさ、しごいてイかせてくれたってわけじゃないけど、『ダルトンの伝説』に咥えられて、大興奮したぜ!!」

 

セバスチャンは話しながら、笑っていた。

 

セバスチャンがブレインに協力したのは、カートと友達だからカートを救いたいっていう気持ちもモチロンあったそうだが、一番の理由は、『ブレインを助けてあげたかったから』だそうだ。

 

カートが苦しむ姿をみて心を痛めているブレインを救いたかったそうだ。

 

「それにさ、俺、ずっとヤりたかったんだよ。ブレインと。

今まで付き合った男はいたけど、お前も知ってのとおり、長続きなんてしなかった。

だって、俺は、高校の頃からずっとブレイン・アンダーソン一筋だからな。」

 

高校時代、セバスチャンがブレインを好きだったことは、俺ももちろん知っていた。

好きすぎてやらかした悪事の数々も。

 

でも、その後恋人を作っては別れ、作っては別れていた「恋多き男」セバスチャンが、まさか本当はずっとブレインを想い続けていたなんて!!

 

俺は信じられない気持だった。

 

「10年だよ。

カート一筋で俺にキスのひとつもくれないような男のことを、10年も想い続てたなんて・・・本当に俺、バカだよな。

今まで隠してたけどな、俺はお前に負けないくらい大バカなんだよ。」

 

そう言って、セバスチャンはまた笑った。

 

「デイヴ、今日、俺たち二人とも本当の意味で失恋したんだよな。

そりゃー、今までも失恋状態だったわけだけど、なんせ奴らは結婚したわけだもんな・・・。

もう完全にTHE  ENDだよな。」

 

そう言いながら、セバスチャンは、やれやれと言うように両手を広げた。

 

「セバスチャン、俺は、初恋には一応終止符を打ったけど、やはりカートのことはどうしようもなく好きだ。

あ、これじゃ、終止符を打ったってことにならないか・・・。

でも、もう、今までの俺とはちょっと違うんだ。

カートがブレインといつか離婚して俺の方を向いてくれるんじゃないかなんて淡い期待は、しないつもりだ。

代わりに、これからはこそこそせずに、胸を張ってカートを応援していこうと思うんだ・・・。

芸能人であるカートのファンとして・・・それから友達としてもな。」

 

「お前、どこまでお人好しなんだよ!!」セバスチャンは、俺が言った事を聞いて、げらげら笑った。

「ああ、おかしい!!

そうだな、俺もブレインをずっと応援するよ。

俳優としていいライバルになれるよう、がんばるよ。

いつか共演して、濃厚なベッドシーンなんかできたら最高だな。」

セバスチャンはそう言ってまた笑ったあと、俺の目を覗き込んで

 

「で、カートと寝てみて、どうだったんだ?」と、にやにやしながら聞いてきた。

 

「バカヤロー!カートとできるかよ!

結婚直前のカートと最後までするわけねーだろう!!」

そう言って俺が怒ると

 

「あー、おもしれー! お前、最高だな!!」と言ってセバスチャンは肩を震わせた。

そして「なら、どこまでやったんだ?」とまた聞かれ、俺は顔が赤くなってしまった。

 

「もう帰る!」と言って立ちあがった俺の腕をセバスチャンがつかんで、

「まぁ、そう怒るなよ。」と言って座らせた。

 

 

「なぁ・・・俺達、同志みたいだって思わないか?

同じ奴を10年も、しかも片思いのまま思い続けられるゲイなんて、きっと俺達ぐらいじゃないか?

デイヴ、今度、一緒に酒飲もうぜ。

よく考えたら、お前と二人だけで飲んだことってなかったよな?」

 

セバスチャンは俺の都合も聞かずに勝手に飲み会の日時と店を決め、お抱えの運転手に俺を送らせた。

 

それから俺たちは、よく二人で「同志の会」をやるようになった。

 

飲みに行って明け方までうだうだしゃべったり、ゲイバーに行ってイイ男ウォッチングしたり、カートやブレインの出てる映画を観に行ったり、カラオケに行ってマイクを取り合ったり、うまいと評判の店に行って料理を酷評したり・・・。

 

飲んで、しゃべって、笑って、歌って・・・。

そうしている間に、俺にはセバスチャンという男が本当によくわかるようになってきた。

 

口の悪さで隠した、善良さ。 虚勢を張るくせに繊細で気弱なところ。

愛するものや信じることのためなら、どんな犠牲を払っても突き進む一途なところ・・・。

知れば知るほど、セバスチャンは奥深くて、魅力的な男だった。

 

二人で過ごす時間はすごく楽しくて、いつの間にか、俺はカートのことを考えなくなっていた。

 

やがて、俺たちは、付き合うようになった。

 

 

 

 

「おめでとう!!」

「デイヴ、おめでとう!!」

「幸せになれよ!!」

 

白いタキシードを着た俺は、友達からの祝福を受けていた。

 

カート、ブレイン、レイチェル、フィンをはじめ、当時マッキンリーのglee部にいた連中が全員来てくれた。

 

まさか自分にこんな晴れがましい日が来るなんて思いもしなかった。

 

今日から俺の夫となる男と一緒に会場をまわり、友人一人一人と握手したり、ハグしたりして、喜びをかみしめた。

 

親戚で来てくれたのは、5人。

両親の身内10名ほどに招待状を送ったが、半数は理由をつけてこなかった。

ゲイ婚なのだから、こんなもんだろうと俺は思った。

 

俺の夫となるのは、モチロン、もと友人で、俳優で、とんでもない策士のセバスチャン・スマイスだ。

 

まさかセバスチャンと結婚することになるなんて・・・。

このことをカートの結婚式に出席してる3年前の自分に話しても、絶対に信じないだろう。

 

付き合いだして最初のバレンタインに、セバスチャンはダイヤの埋め込まれたプラチナの指輪を俺に差し出した。

 

セバスチャンは、その指輪を俺の薬指に勝手にはめて、「テレビか映画で主役に選ばれたらちゃんとプロポーズするから覚えとけよ!」と言った。

 

セバスチャンがテレビで主役の熱血弁護士をやることが決まると、さらに大きなダイヤのついたエンゲージリングを反対の手の薬指にはめられ、今日に至った。

 

ブレインとセバスチャンの例の写真の秘密をまだカートは知らないらしい。

新婚旅行から帰ってお土産を渡すときに、3年前の真相をカートに教えてあげよう。

 

カートを悪夢から救い出すために、ブレインがどんなことをし、また、どんな想いでカートを俺の家に行くように仕向けたのかを。

 

そして、セバスチャンから聞いた、「カートがデイヴの家にいる間、ブレインのヤロウ泣きながら飲んだくれて大変だったんだぜ!」っていう話や、俺の生涯の伴侶がどんな悪役も演じきれるいい男だってこともな。

 

話したら、きっとカートは、「あの時君と一線を越えなくて本当によかった・・・。」って胸をなでおろすだろうな。

それからまたブレインにほれなおすかな?

 

招待客から祝福を受けながら、俺はセバスチャンと手をつないでテーブルを回った。

セバスチャンの家があまりにも金持だったために、ゴージャスな式となり、これが本当に自分の結婚式なのかと信じられない気もしたが、とにかく俺は幸せだった。

 

一年新婚生活を楽しんだら、養子をもらおうと俺たちは決めている。

 

ああ、これで、俺の夢が全部叶うな・・・。

 

その子が大人になった時に、「パパたちはどうやって付き合うようになったの?」って聞かれたら、なんて答えよう?

 

そんなことを考えながらにやにやしていたら、手をつないでいたセバスチャンが俺にキスしてきた。

 

「新婚初夜のお楽しみは、お前とカートの動画で決まりだな!」

 

セバスチャンはそう言ってニヤリと笑った。

 

 

(おしまい)

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柔らかな唇。

 

夢の中でなら何度も重ねたカートの美しい唇が俺の唇に重ねられ、その感触の気持ち良さに、俺は息をするのも忘れていた。

 

そして、カートがゆっくりと顔を離したときのチュッという音で、我に返った。

 

そう、さっき・・・

「抱いて・・・。」とか「ブレインの事なんか思い出せなくなるくらい、僕をめちゃくちゃにして!」とか言われた後、カートにキスされたんだった。

 

俺を見上げるカートの目は、OKの返事を待っていた。

 

彼の頬は緊張しているように見えた。

 

ブレインに浮気された腹いせとはいえ、初めてブレイン以外の男とヤろうっていうんだから、そりゃあ緊張もするよな・・・。

 

キスされただけだっていうのに、俺の体はすっかり反応していた。

 

ヤりたい・・・。

 

でも、本当にそんなことしていいのか不安になった。

 

事後、すっかり冷静になった時に、もう二度と顔を合わせられないって感じになったりしないだろうか? 

 

キスを1回しただけだし、

「やっぱりさ、ブレインに電話して話し合えよ。」って、今ならまだカートに言うこともできるんじゃないか?

 

あれこれ考えていたら、いつの間にかカートは瞳を閉じ、ちょっとあごをあげていた。

 

ああ、これって・・・。

 

これが、俺が妄想し続けた、カートのキス待ち顔ってやつか!

 

・・・ああ・・・かわいい!! 

 

最近ますます男らしく、かっこよくなってきたカートだが、泣いた後の赤いまぶたと鼻のせいで、いつもよりずいぶん幼く見えた。

 

意志が強くて、皮肉屋。どんな状況に置かれても負けなかったカート。

 

ごみ箱に入れられても、スラッシーをかけられても、俺からひどい目にあわされて転校することになっても、自分のスタイルを変えなかった。

 

そんな気の強い天使が、ブレインの浮気にすっかり参って、完全に理性を失っているこの状況。

 

こんな状況を利用していいのか?

 

弱みに付け込んでるみたいじゃないか? 

 

ここで俺がキスを返したら、今からカートを抱くことにOKの返事をしたってことになるんだよな?

 

それにしても・・・かわいい。 いや、きれいって言った方がいいのか・・・。

 

見とれてしまい、呼吸するのを忘れそうになった。

 

「キス待ち顔」の状態のままずっと待たされてたカートは目を開け、不安げに「なんで、キスしてくれないわけ?」って聞いてきた。

 

「いや・・・かわいすぎて、見とれてた・・・。」と言ったら、

「なんだ・・・。そうだったのか。」とカートはほっとした表情になり、もう一度目を閉じた。

 

俺がカートに甘い言葉をかけ、褒めたたえながらセックスすれば、カートは自信を回復してくれるはず・・・。

 

ブレインと友達である俺とセックスすれば、ブレインに思いっきり仕返しした気分になるだろうし・・・。

 

万一、今夜のことがばれても、セバスチャンと浮気したブレインに、カートを責めることなんてできないはずだ・・・。

 

俺たちが悪いんじゃない。ブレインとセバスチャンがそう仕向けたんだ・・・。

 

俺は自分にそう言い聞かせた。

 

そして、カートのあごの下に右手を添えて、顔を近づけた。

 

カートからは、いいにおいがした。

 

目の前のキス待ち顔のカート。

 

美しい唇にそっと唇を重ねた。

 

ああ、柔らかい・・・。 すごく気持ちいい。

 

俺は目を閉じなかった。 こんなにかわいい顔を見ずにキスするなんて、もったいない気がしたから。

 

しばらく唇を合わせたまま、カートを眺めていた。

 

あまりにも近すぎて、顔はハッキリとは見えなかったが、それでもやはり、本当にかわいいと思った。

 

今、カートとキスしている・・・。 嬉しくてたまらなかった。

 

俺が唇をゆっくり離すと、カートは目を開け、両手を俺の首にまわしてきた。

 

そして、耳元で、囁くように言った。

 

「・・・デイヴ・・・舌を入れていいんだよ。」

 

不意に言われた一言。

 

全身の血が、体の中心に一気に集まったような気がした。

 

のどが渇き、思わず唾を飲み込んだ。

 

カートは首にまわした手で俺を引き寄せるようにキスしてきた。

 

(舌・・・入れていいのか・・・。いいんだよな・・・。

 

そうだよな・・・今から俺達、セックスするんだもんな・・・。

 

舌を入れたら、カートの舌を・・・

 

あ!!!)

 

あ・・・と思ったときにはすでに手遅れで、なんと俺は・・・トランクスの中に出してしまっていた。

 

いくらなんでも早すぎる。こんなのあり得ない。情けなさすぎる。

 

「・・・カート・・・ごめん・・・俺・・・。」

 

カートから体を離し、泣きたい気分で、射精してしまった事を話すと、カートは「ええ?もう??」と目を丸くしたが、すぐに嬉しそうな顔になって、「デイヴって本当に僕のこと好きなんだね。」と言った。

 

それから、カートは、「きれいにしに行こう。」と言ってくれ、二人で一緒にバスルームへ向かった。

 

カートが俺の服を脱がせはじめた。

 

最後に、濡れた下着も・・・。 本当に恥ずかしい・・・。

 

いとしいカートに「舌を入れていいんだよ。」って言われた結果がこの濡れた下着だ。

 

でも、このことでカートの機嫌が一気に良くなったのがわかった。

 

俺が顔を赤くしていると、「デイヴってかわいいね。高校生みたいだ。」と言って、俺をからかった。

 

それから、「デイヴ・・・僕の服、脱がせてみたい?」とカートに聞かれ、頷いた。

 

 

靴下を脱がせ、ベルトをはずし、ジーンズも脱がせた。

 

目の前に現れた綺麗な形の足に感動した。

 

それから、シャツのボタンを1つずつ外していった。

 

俺の手は、震えていた。

 

カートを裸にしていくっていう行為だけでも卒倒モノなのに、その脱がせる様子をカート本人にじっとに見つめられているものだから、ますます緊張していた。

 

「ボタン、ゆっくり外していいからね。

デイヴ、緊張しなくていいよ。」

 

カートは優しく声をかけてくれた。

 

シャツも下着も全て脱がせ、二人とも裸になった状態でお互いの体を見た。

 

カートの体は美しかった。

 

ここ数年ですっかり男らしくなり、スリムな体にバランスよく筋肉も付いたカートだったが、滑らかそうな白い肌は輝き、これが同じ男の体なのかと不思議に思うくらい、カートは綺麗だった。

 

カートに「お前、綺麗すぎて、女神様みたいだ・・・。」というと、「男なのに女神?他の神にして欲しいよ。」と笑われた。

 

でも、本当に女神のように美しかった。

 

カートはカートで、俺の体をほめてくれた。

 

「デイヴってさ、たくましくて、本当に男らしい体してるよね。

デイヴに抱きしめられたまま寝たら、すごく安心して眠れそうだよ。」

 

そう言ってカートは、手のひらを俺の胸の上に置いた。

 

ドクン。 心臓がはねた。

 

カートは俺に優しく微笑みかけ、「洗ってあげようか?」と言った。

 

「・・・うん。」 俺は素直に頷いた。

 

 

カートが俺を洗ってくれた。

 

石鹸の泡を両手に取り、首の方から下に向かって。

 

洗いながらカートは、「顔は自分で洗った方がいいよね?」と聞いてきた。

 

どこを洗われても、ドキドキしてしまっていた俺は、頷くことしかできなかった。

 

俺の『肝心なところ』も、他のところと同じくらい普通に洗われたが、ものすごく反応してしまい、恥ずかしかった。

 

カートは、すでに1回イってしまっている俺がまた思いっきり反応しているのを見て微笑んだ。

 

「デイヴって本当にかわいいね。」と言われ、顔が赤くなった。

 

ここでこのままカートに『イケナイこと』をして欲しかったけど、「洗い終わったよ。顔も洗って。」とあっさりと言われてしまった。

 

挙句に、「僕は自分で洗うから、先に出て。」と言われた。

 

カートの体は俺が洗いたかったな・・・そう思って俺が名残惜しそうに、ゆっくりバスルームを出ようとすると、

 

「デイヴを汚したくないから、いろいろ準備したいんだ。早く出ていって!」とはっきり言われた。

 

準備って・・・。

 

俺はどぎまぎしながらバスルームを出た。

 

 

カートが出てくるまでの間、トランクス1枚でビールを飲んでいた。

 

のどが渇いていたし、シラフじゃとてもできない気がしたんだ。

 

きっとこれは、神様が俺に与えてくれた生涯で一度きりのチャンスだと思った。

 

ブレインはカートがあの写真を見て怒り悲しんでいることを知ったら、きっとすぐに謝ってくるだろう。

 

カートは、結局ブレインを許して、何事もなかったかのようにバージンロードを歩くのかな?

 

ふーとため息をついたとき、カートがでて来た。

 

「お待たせ!」

 

カートは俺のバスローブを着ていた。

 

 

「さ、撮る準備してはじめようか。」カートが言った。

 

 

「トルって?」

 

「動画だよ。」

 

「動画ぁ??」

 

「うん、僕とデイヴの動画。

 

セバスチャンが送ってきたのは静止画だったでしょ?

 

上をいかないと気が済まないよ・・・。」

 

 

俺はカートが負けず嫌いだったことを思い出した。

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「デイヴは、今でも、僕のこと好き?」



ずっと愛し、尊敬し、あこがれ続けている美しい天使に間近でそう聞かれ、言葉が出てこなかった。


「ねえ、どうなの・・・? 

もう、僕のことなんか、ただの友達だとしか思ってないの?


・・・デイヴが告白してくれた高校の頃の僕と今の僕じゃ、やっぱり違うよね?

10年も時間がたっちゃったし・・・。

僕なんてさ・・・もう・・・」



「カート!!」

超至近距離で俺からいきなり怒鳴られ、カートはビクッと体を上下させた。



「お前は今も昔も、ずっと魅力的だ。

何ヘコんだこと言ってんだよ!

それにだいたいさ、ブレインが浮気なんてするわけないだろ?

世界で一番ロマンティックなプロポーズされたって真っ赤な顔してノロケてたのは一体どこの誰だよ?

お前のことを真剣に愛しているからこそ、ブレインはお前と結婚するわけだろ?


あいつが浮気したなんてホラ話、誰に聞いたんだ?

そんなのお前をからかうための冗談に決まってるだろ!!

サンタナか? パックか?

一体誰にそんなタチの悪い冗談聞いたんだ?」


「・・・聞いたんじゃないんだ・・・。」

カートはポツリと言った。

「見たんだよ。」

そう言ってカートは、バッグの中からBlack Berryを取り出した。


セバスチャンから送られてきたという写真を見て俺はギョッとした。


「これ・・・ブレインか?」

「・・・うん。」

「他人のそら似じゃないよな?」


「はぁ・・・。 誰がどう見ても、ブレインだよ」


「・・・ええと、これ・・・

一見、ブロージョブしてるように見えるけど・・・もしかして、よく見たら・・・何か他の事してるんじゃない?」

「え?」

「光の加減で、たまたまそういう風に見えてるだけとか・・・。」

俺は苦し紛れにそう言ったが、目の前にあるのは、誰がどう見ても『ブレイン・アンダーソンが男のアレを口に咥えている写真』だ。

カートは下唇をグっとかみしめた後、

「これだけじゃないんだ・・・。」とつぶやいた。


次の写真は、もっと衝撃的だった。

それは、浮気風景(?)の全体画像。さっきの写真を引きで撮った感じの物だった。

咥えているブレインと咥えられている男。

引きで撮ってあるこの写真では、咥えられている側の男の顔もしっかり写っていた。

「・・・セバ・・・」

「そう・・・だから言ったでしょ? セバスチャンだよ。」



俺は、どうリアクションしていいのかわからずパニックになり、口からまた適当な言葉を発してしまった。

「セバスチャンに見えて、実はセバスチャンじゃないのかも・・・。」

「デイヴ、こいつがセバスチャンじゃなかったら、どうしてセバスチャンから画像が送られてきたの?

セバスチャンは・・・ブレインと自分の浮気写真をわざわざ僕に送りつけてきたんだよ!

明後日が僕とブレインの結婚式ってときにね!!!」

カートは怒りで震えていた。


「しかもね・・・。」

カートが最後に見せたのは・・・セバスチャンとブレインが裸で合体した写真だった。
 

結合部分は角度的に見えず、どうつながっているのかハッキリとはわからないが、二人とも裸だし、これはどうみてもセックスしていますって体勢だった。

写真のブレインは気持ちよさそうな顔で目をつぶっていた。

もし、二人が本当にヤってるとしたら(どうみてもヤってるようにしか見えないけど)、ゲイビデオも真っ青なくらい、かなり過激な体位としか言いようがなかった。


何かカートに声をかけてあげようにも、この事態を誤魔化す気のきいた言葉が見つからなかった。

「浮気するだけでもヒドイのに、こんな写真撮るのをOKするなんてさ・・・。

ブレインは、きっと・・・僕と結婚したくなくなったんだよ・・・。」

カートはまた涙を見せた。


「ブレインは、昔からみんなに一目置かれるような存在で、高校生の頃なんて男にも女子たちからも、モテててたよ・・・。

いろんな子から電話番号のメモを渡されてたの、僕知ってるんだ。

特にセバスチャンなんてあからさまに・・・。

セバスチャンが過去にしてきたことはデイヴだってよく知ってるよね?

・・・それにひきかえ、僕なんて全くモテなくて・・・モテるどころか、いじめのターゲットでしかなかった。

ゲイであることをオープンにしてた僕は嫌でも目立つ存在だったし、僕はブレインの周り子たちとはちょっと違っていたから、ブレインは僕みたいなタイプが珍しくて、なんだか気になってきて・・・好きだって思ったのかも。

でも、ずっと付き合ってみて、今じゃ僕のことがすっかりわかっちゃったから・・・もう飽きたのかも・・・。

きっと僕には、ブレインに想われる魅力なんて全然ないんだよ!」


「何言ってんだよ! カート!!」 俺は思わずカートの両肩に手を置いて、前後にゆすった。

「お前は高校の頃からずっと可愛くて魅力的だし、才能のかたまりだよ!

お前は、俺にとって、昔も今も世界一魅力的な男だよ。」

「・・・本当? 本当に?

デイヴは・・・今でもそう思ってくれてるの?」

お互いに『今でも』と言ったのは、高校生の頃、俺が無理やりカートにキスをしたり、バレンタインにカートに告白したことがあったからだ。

キスした時は、泣かれたうえに突き飛ばされて逃げられ、告白した時は、「僕にはブレインがいるんだ。」って、あっさりふられたけど・・・。

あれからもう10年。

10年たっても、ずっと想い続けている俺の可愛い天使が、すがるように必死な目で俺の顔を見上げていた。

心臓が高鳴り、息苦しくなった。

「こんな写真送りつけられて、自信無くしてるのかもしれないけど・・・カート、お前は本当に魅力的だ。」

「・・・本当・・・?」

「ああ・・・。 それに・・・。」

俺は今まで胸の奥底にしまいこんでいた気持ちをカートに伝えた。

「カート。俺は高校の頃と同じようにお前が好きだ。

いや、それ以上かもな・・・。

お前のことを想わなかった日なんて、今まで1日だってないよ。」

「・・・デイヴ・・・。」

「だから、自信を持て!

ブレインは、何かのはずみでちょっとセバスチャンと遊んでしまったのかもしれない。

でも、きっとお前のもとに戻ってくるさ。

だってお前は本当に本当に魅力的なんだから。」


「でも・・・ブレインが戻ってこなかったら・・・?

僕よりセバスチャンを選んだら? 僕は一体どうすれば・・」

「心配するな!

もしブレインが、お前を幸せにできないのなら・・・俺が・・・

この俺が一生かけてお前を幸せにしてやる!!」


カートは大きく目を見開いた後、ふうっと息を漏らした。

そして・・・かつて俺の夢の中でささやいてくれたセリフを、目の前の本物カートが言った。


「デイヴ・・・僕を抱いて・・・。」と。
 


カートが俺を恋愛の対象としてみて、「僕を抱いて・・・。」なんて言っていないことは、よくわかっていた。

カートはブレインに浮気され、ヤケになっているんだ。

しかも相手は、今ではすっかりカートと友達になっていたはずのセバスチャン。


婚約者に裏切られ、友人に裏切られ、自尊心を砕かれたカート・・・。

カートが俺に「抱いて」なんて言ってきたのは、浮気したブレインへの腹いせだけでなく、自分に対する自信を取り戻すためだってことが、俺にはよくわかっていた。

カート自身その理由に気が付いているかどうかはわからなかったが・・・。


ブレインの浮気で精神的に慰めて欲しいだけなら、話す相手は女友達でもよかっただろう。

レイチェルだってメルセデスだって、カートを抱きしめて「ブレインったら許さない!!」って一緒になって怒ってくれただろう。

ブレインをとことん痛めつけたいのなら、フィンだっている。

兄弟なんだから思いっきり力を貸してくれただろう。

でも、カートは俺を選んだ。

ブレインに浮気され、泣きつく相手として俺を選んだ。

失いかけている自分への自信を取り戻すには、俺が必要だと心でわかっているからだ。


カートがどこまで意識しているのかはわからないが、俺が今でもカートの事を心から愛していることを、カートは心の奥底でしっかり認識している。 だから俺を選んだのだ。

今のカートに必要なのは、自分に向けられる100パーセントの愛と言葉、恋愛対象として見つめられる熱いまなざしと、自分の体に対する称賛だ。

中でも、カートが最も欲しがっているのは、自分に対する性的な称賛だろう。

恋人を友人に寝とられたのだから・・・。

愛されるものだけが得られる時間をかけた丁寧な愛撫と、頭が真っ白になるくらいの激しい交わり、それから、「最高だ」とか「なんてきれいなんだ」とか「本当に素晴らしかった」という言葉を欲しているに違いない。

でも、俺とヤってしまったら、カートとブレインは、もう元の状態に戻れなくなるんじゃないか?

俺はカートの手を取り、しっかりと瞳を見つめながら話しかけた。

「カート、ブレインはきっと、お前に許しを請うと思うよ。

あいつは今もお前のことを愛してるんじゃないかな?

俺とヤっちまったら・・・もしそういうことをして、そのことがバレたら・・・今度はブレインがお前を許せなくなる。

それでも、俺に抱かれたいなんて、本気で思ってるわけないよな?」

「僕、本気だよ。

冗談なんかでこんなこと言わないよ。

・・・デイヴ・・・抱いて・・・。

ブレインの事なんか思い出せなくなるくらい、僕をめちゃくちゃにして!」


いきなりカートの顔が目の前にきて、柔らかな唇が俺の唇と重なった。 
 

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マリッジブルー1

この状況は、夢の中の1シーンとしか言いようがない。
何年も何年も想い続けてきた人が、今、この俺の腕の中にいる。

ベッドの上で、ブランケットに一緒にくるまって。
しかも・・・二人とも裸で。


『彼』は俺の胸に頬をぴったりとくっつけている。
美しいその瞳を閉じ、すっかり安心しきった顔で。


高校生の頃の俺に、この数時間の状況を動画で送りつけたりしたら、その展開に驚いて心臓マヒで死ぬかもしれない。
いや、それとも、夢をみてると思うだろうか? 

でも、これは夢ではない。
『彼』の髪をそっとなでながら思う。

よく手入れされた美しい髪のしなやかな感触、そして、彼の優しく甘い香りが、この俺に「これは現実だよ」と教えてくれる。

ずっと触れたかった髪、すぐそばで嗅ぎたかった『彼』のにおい、そして、見てみたかった「俺だけを見つめる必死な瞳」、言ってほしかった「僕を抱いて・・・。」という言葉。

この数時間で、俺は、その全てを手に入れた。

しかも、それ以上の・・・今まで何度も夢に見て、見るたびに夢精してきたようなことを、その『彼』とやってしまったのだ。


もう眠ったのだろうか?
それとも目を閉じているだけなのだろうか?

俺は、” 俺の天使 ” にそっと声をかける。

「カート、起きてるか?」

「・・・うん、デイヴ。起きてるよ。
・・・まだちょっと興奮してるのかな・・・。」


あごをあげ、上目づかいで俺を見て、 
” まだちょっと興奮してるのかな・・・。 ” なんて言いながらも、この部屋に入って来た時とは別人のように落ち着いた顔をしているカート。

天使は微笑むと、また俺の胸に頬をくっつけた。



俺がやらかした自殺未遂の後、俺に謝ってくれて、ずっと友達でいると言ってくれた、俺の天使。

転校させてしまうほどひどいことをしてきたのに、あの事件の後は、俺が立ち直るのを温かく見守り、励まし続けてくれた、心優しいカート。


そんなカートが俺のアパートに突然やってきたのは、数時間前。
つまり、『彼ら』の結婚2日前の夜遅くだ。


ドアを開けると、涙をこらえながら立っているカートがいた。

「カート、どうしたんだ?」

突然の訪問に驚く俺に向かって、震える声でカートは言ったんだ。

「デイヴ、泊めて・・・。」って。

ソファーに座るなり、涙はあふれだした。

俺は隣に座って、クリネックスを2箱差し出し、「遠慮なく使え。」と言った。

好きなだけ泣かせてから、「一体どうしたんだ?」って改めて聞くと、

「僕のこと、デイヴは・・・今でも好き?」と、とんでもないことを聞いてきた。

「おいカート、それ、『一体どうしたんだ』の返事になってないよ。」と言うと、またハラハラと涙をこぼした。

そして、ゆっくり息を吸ってから、「ブレインが・・・ブレインがね・・・浮気したんだ・・・。」と震える声で天使は言った。


『ブレインが浮気』などという、『明日、地球に巨大隕石が降ってきます』並みに信じられないその一言に、俺は本当に驚いて、「ブレインが浮気ぃぃぃ?」と思わす大声を出してしまった。

そしたら、「そんなに大きな声で言わないでよ。僕、そのことでショック受けてるのに・・・。」と、またさらに泣かれた。

「ごめんごめん。・・・でさ、その、浮気相手って、一体誰だよ。」と俺が聞くと、カートはすごく怖い目をして、「デイヴがよく知ってるやつだよ。」と吐き捨てるように言った。

「よく知ってるって言われてもな・・・。
俺とお前って共通の友達多いだろ? 
ニューディレクションズだった連中とか、ウォブラーズだった連中とか、他にもいろいろな。
共通の友達ってヒントだけじゃわかんねえよ・・・。 
一体誰だ? 教えてくれよ。」

「アイツ・・・アイツだよ・・・。」

「あいつって? 誰だ?」

「・・・・・・セバスチャン。」

「えええ~~~~~!?  セバスチャーーーン???」

俺はさっきよりさらに大きな声をあげてしまい、クリネックスの箱で思いっきり頭をひっぱたかれた。

「今僕が、世界中で一番聞きたくない名前を、そんなに大きな声で復唱しないでくれる?」

カートは顔を真っ赤にして怒っている。

俺は、とりあえずカートを落ち着かせようと、冷蔵庫からダイエットコークを持ってきて飲ませた。

カートがたまに遊びに来てくれるのが嬉しくて、ダイエットコークは常に冷蔵庫にストックしてある。

カートは1缶飲み終えて、やっと少し落ち着いた顔になった。

そしてさっき「質問への質問返し」で俺に投げた直球を、また思いっきり投げてきた。

「デイヴは、今でも、僕のこと好き?」

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My favorite illustrator Toma (loiloisc) drew this picture for me.
You can enjoy her amazing pictures in her blog.
http://lioliosc.tumblr.com/
大好きな作家、そしてイラストレーターのとまさん(loiloiscさん)にイラストを依頼し、描いていただきました。
とまさんの絵は上記アドレスでもっとご覧いただけます。
なお、pixivでは、素敵なイラストだけでなく、素晴らしいファンフィクションも書いていらっしゃいます。
また、とまさんのFC2でのブログのアドレスは、こちらです。http://tomaliolio.blog.fc2.com/

lioliosc:

Little Kurt.

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オークション 15(最終話)

「こらー!トロント!店の中で走っちゃダメ!

 ほら、ブレイン、見てないで早く捕まえて!」


「社長と副社長が視察にいらっしゃるということで従業員一同、緊張しております。」との報告を受けていたが、デパート内を走り回る4歳児にキイキイ言っている俺と「こらこら、トロント!待て~!」と笑いながら息子を追いかけるブレインを見て、周りにいる皆が和んでいるのがわかった。

ブレインはお父さんの会社を引き継いだ。

俺は大学で経営学を専攻した後、ブレインの会社に入り、一緒に働くようになった。

その3年後に俺たちは結婚し、結婚1周年の日に養子を迎えた。

大企業の若きトップであるブレインが同性婚をしたことも、施設から養子を迎え入れたことも当時話題となり、マスコミに大きく扱われた。

目が俺に似ていて、性格はブレインそっくりなトロント。

ブレインに追いかけられて、ますます嬉しそうに走っていたトロントは、ガラス張りのおしゃれなカウンターの前で急に立ち止まると、「あれ何?」とカウンター上のプレートを指差した。

「ゲイフレンドリー」

「ストレートフレンドリー」

プレートに書かれたその2行の上には、俺たちの会社のシンボルマークがあった。

トロントはそれを指差して「パパにとっても似てる。」と言った。

全支店・全支社で見ることができる、会社の信念ともいえるそのシンボルマークは、何かをかたどったデザインではなく、写真だった。

セクシャリティーによる差別を受けることなく、誰もが愛する人と幸せに暮らせますように・・・、そんな願いが込められたプレートの写真。

ブレインはトロントを抱きあげ、プレートを持たせてあげた。

「ね、ダッド。この子パパに似てるでしょ?」とトロントが言うと、

「この子はね・・・、パパのお兄ちゃんなんだよ。」とブレインは答えた。

「パパのお兄ちゃん?」

「そうだよ。」ブレインは微笑んだ。

トロントの瞳に映るのは、少年時代のカートだった。

写真の中の可愛らしいカート。

自分がゲイであるかストレートであるかなんて、そんなこと考えもしなかった頃のカートが、幸せそうに屈託なく笑っていた。


END.

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